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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

ハラがコレなんで

この秋~冬の映画をちょっと紹介

 10月22日~30日に六本木ヒルズを中心に開催された東京国際映画祭。コンペティション部門では各国から力作が集まり、グランプリを目指していたが、その他、多くの作品が上映されている。コンペティション部門ではなく、映画祭の中で上映された今秋以降公開の邦画を紹介する。

 まずは、11月9日より公開された「アントキノイノチ」。2009年に発売されたさだまさしの原作を、「余命1ヶ月の花嫁」らのスタッフが制作した作品。主演も「余命1ヶ月の花嫁」と同じ栄倉奈々、相手役には昨年、日本アカデミー賞優秀助演男優賞に選ばれた岡田将生。現代の世相を反映したような、ある出来事をきっかけにコミュニケーションがうまく取れなくなった若者2人が遺品整理という死に向き合う仕事を通して、生きる意義を見つけていく。そして、2人はすれ違いながらも心を通わせていく―という内容。
 フレッシュな2人が登場することで、重々しい内容の作品が心持ち軽くなってはいるが、少々その軽さがマイナスになってしまっている感もある。遺品整理業という、無縁社会という言葉が散見される中登場してきた仕事を通して、現代社会の多くの人が持つ寂しさや、コミュニケーションの煩わしさを浮き彫りにしているのは、どうやってこれから先生きていくのか考える時を与えてくれる。☆☆★★★

 続いては、「ハラがコレなんで」(11月5日公開)。海外の映画祭で特集上映が行われるなど、世界中から高い評価を受け、若き奇才と言われる石井裕也監督の作品。主演は仲里依紗、彼女は若いながらも華がない役を上手に演じている。というよりは、周りの出演者陣に実力者がそろい、与えられた役の個性を出しているからそう見えるのかもしれない。会ったことが無いので本当にそうなのかは分からないが、ラジオでのインタビューなどを聞くと、今回仲が演じている光子は彼女によく似た性格なので、特に何かを仕込むことなく演じられており、無理に役を作っている感じがなく、しっくりきているのかもしれない。石井監督は仲の性質を見抜いていたから彼女を起用したのかな?
 作品は邦画に時折見られる貧乏(お金に困っている)を背景に、お金だけが人生じゃない。といったコメディー映画。くだらないし、あり得ないけど、笑えて、観た後にスキッとした感覚と何かホッとした温かみを感じることができる。上映中は多くの観客から笑いが起こり、特に外国の方には石井監督作品ではおなじみの稲川美代子演じる男勝りの清がうけたようで、彼女の登場場面では、多くの笑い声があふれた。心に残る映画、とは異なるがコメディー映画というカテゴリでは優れた作品に違いない。☆☆☆★★

 次は、三谷幸喜の新作「ステキな金縛り」(10月29日公開)。本人が「構想10年以上!」と言っている作品。10年以上練られてきたのか真偽のほどは定かではないが、そう話している通りの力作。本当に面白い。出演者は三谷作品ではおなじみの面々、西田敏行、中井貴一、深津絵里、竹内裕子、小日向文世らと豪華な顔ぶれになっている。
 作品は有能だった弁護士を父に持つ、頼りない弁護士の宝生(深津)の成長の過程を描いた物語。宝生が担当になった殺人事件、その被告人は無罪を主張する。アリバイがあるのだが、そのアリバイの証人は、落ち武者の幽霊。落ち武者(西田敏行)、宝生、検事(中井貴一)を中心に、話しが進んでいく。西田と中井の掛け合いは絶妙で、観客を場面に引き込んでいくと同時に笑える。劇場内の観客からは大きな笑い声があふれた。深津は勝ち気な女性の役が合っているのでは、と思っていたが、このようなとぼけた役も見事に演じている。個性の強い西田と中井の間で中和剤として機能している。本当に面白い作品で、映画館に足を運んで観て損はしないと思う。☆☆☆☆☆

 最後に紹介する作品は東野圭吾作品の映画化「麒麟の翼~劇場版・新参者~」(=2012年1月28日公開予定)。刑事・加賀恭一郎シリーズの最高傑作と言われる作品の映画化である。阿部寛演じる刑事・加賀が、日本橋で発生した殺人事件の捜査を担当する。容疑者の男は、現場から逃走しようとして車にひかれる。家族、友人、同僚と様々な人々が複雑に絡み合い、難解な事件になっていく。ひかれた男が本当の犯人なのか? 加賀は事件の謎に迫っていく。
 阿部の穏やかな演技は、阿部が加賀のイメージ通りという東野ファンが多いのにもうなづける。今回も、事件に真摯に向き合い、真実を突き止めたいという思い、行動は作品の隅々まで浸透しており、すがすがしさを感じる。その他の出演陣は溝端淳平、黒木メイサ、田中麗奈のテレビドラマからのレギュラーに、新垣結衣、中井貴一、松坂桃季らが加わり豪華な顔ぶれになっている。また、テレビドラマをみていない人でも続きの作品にはなっていないのでこの作品を最初に見ても楽しめる。☆☆☆★★

☆は最高が5、多いほど観て欲しい作品。

2011年11月07日
アントキノイノチ
アーリー
ステキな金縛り
ハラがコレなんで
麒麟の翼~劇場版・新参者~
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