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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

もたいまさこの無言の演技が光る「トイレット」

「かもめ食堂」「めがね」の荻上直子監督の最新作「トイレット」は、企業の実験室に勤めるプラモデルオタクのレイ、引きこもりのピアニスト・モーリー、エアギターで自分のスピリットを表現しようとする女子大生リサという少し個性的な3兄弟と、もたいまさこ演じる謎だらけの“ばーちゃん”の物語である。
全編カナダ・トロントで撮影され、荻上監督の全作品に出演している、もたいまさこは唯一の日本人キャスト。スタッフには「かもめ食堂」「めがね」に引き続いてフードスタイリストの飯島奈美、衣装の堀越絹衣が参加。荻上監督の細やかでさりげない世界観の屋台骨をささえるキャストとスタッフが集結し、ちょっとおかしなハートフルストーリーが完成した。

「人生は退屈の繰り返しに耐え忍ぶことだと思う」。そんな冷めたレイのセリフから物語は始まる。母が亡くなり、モーリー、リサ、そして母が亡くなる直前に呼び寄せた「母の母」つまり兄弟にとって祖母にあたるばーちゃんの3人は、母の残したあまり大きくない家に暮らしていた。
企業の研究所に勤めるレイは、マンションで一人暮らしをしていたのだが、マンションが火事になり、しかたなく実家に帰ることに。かくしてバラバラで生きてきた3兄弟が、ばーちゃんと一緒に暮らすことで、次第に心の扉を開いていく……。というお話である。

本作は、これまでの荻上監督作品と違い、もたいまさこと黄金コンビであった小林聡美が出演していない。さらに言うと、もたいまさこ以外は現地カナダでオーディションをしてキャスティングした3人と、「西の魔女が死んだ」のサチ・パーカー。もたいが唯一の日本人キャストなのである。まるで、海外の映画にもたいまさこが出演しているような不思議な違和感のある作品となった。

荻上監督はばーちゃん役は最初からもたいまさこをイメージしており、監督のもたいに対する「正義感あふれるパンクスピリッツ」のイメージを、そのままばーちゃんとして表現したそうだ。「もたいまさこにパンクスピリッツ?」と思う方も多いかもしれないが、夜中にひとりで「エアギター選手権」を真剣に見るばーちゃんの役がしっくりくる役者は、そうそういないだろう。
もたいまさこの演技力もさることながら、荻上監督作品と言えば、「おいしそうな食べ物」である。「かもめ食堂」のレシピも掲載されているフードスタイリストの飯島奈美さんのレシピ本はアマゾンのクッキング・レシピ部門で1位を取るほどの人気。
そんな人気フードスタイリストが手がける今回の「シネマごはん」は、ずばり「ギョーザ」である。3兄弟の母の味であり、家族が心の扉を開くきっかけとなる重要なアイテムとして登場する「ギョーザ」だが、ジュージューと焼く音や、皮から丁寧に作るギョーザを家族で囲んで食べるシーンは、本当においしそう。映画を見に行く前に、見終わったあと食べに行くギョーザのお店をきめておかないと、後でギョーザを求めてさまようことになるかもしれない。

<もたいまさこ><パンクスピリッツ><ギョーザ>に加え、本作でもうひとつ重要なのは猫の「センセー」。3兄弟の母が亡くなる前にやりたいことを聞かれて「センセーのにおいを嗅ぎたい」と答えるシーンがあるのだが、猫好きの人なら、いたく共感することだろう。そして、窓辺のアンティークなイスに座るもたいまさこと、ひざに乗せた猫というシーンもある。もたいまさこと猫というのは、なぜこんなにも相性がいいのか。そういえば「かもめ食堂」でも、猫とコンビなのはもたいまさこだった。

もたいファンの筆者としては、もたいまさこに対する憧れをさらに強める作品であった。

●8月28日(土)、新宿ピカデリーほか全国ロードショー

2010年05月27日
どらく編集部映画担当
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