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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

宮藤官九郎がはじめて描く家族の物語「なくもんか」

 「舞妓Haaaan!!」のスタッフが贈るファミリーストーリー。阿部サダヲさんが稀有(けう)な役者であることを思い知らされる一本でした。

兄・祐太(阿部サダヲ)は、幼いころ父(伊原剛志)に捨てられ、“なんとな~く面倒を見ることになった”善人通り商店街のハムカツ屋「デリカの山ちゃん」初代店長夫婦(カンニング竹山、いしだあゆみ)に育てられました。山ちゃんの家には一人娘の徹子(竹内結子)がいましたが、成人を迎えると家出して行方不明。祐太は育ててくれた恩返しに働いて働いて、二代目山ちゃんを継ぐことに。店は行列のできるハムカツ屋になっていました。 

弟の祐介(瑛太)は、両親の離婚後に生まれたので、父親の顔を見たことがありません。幼い頃に母親(鈴木砂羽)は事故死してしまったので、親せきや施設をたらいまわしにされて育ちました。大人になって芸人になるものの、ピンでは鳴かず飛ばす。全くの他人の金城大介(塚本高史)兄弟漫才師“金城ブラザーズ”でデビューしたら、スターになってしまいました。

ある日突然、山ちゃんの一人娘の徹子が、訳ありな雰囲気、子ども連れで帰ってきます。徹子の過去を聞かぬまま、祐太と徹子は結婚することに。婚姻届を提出するために戸籍謄本を取り寄せたところ、自分と金城ブラザーズの祐介が兄弟だということに気付き、弟に会いに行くのでした・・・。

まずこの映画、美術が素晴らしいです。東宝のスタジオに作られたという善人通り商店街のセットには、昭和の下町の人情と猥雑(わいざつ)さがあります。まるで自分が育った街のように懐かしくて、ほっとする雰囲気。アーケードから漏れる光の作り方が見事で、セットとは思えないほどのリアルさです。

美術のリアルさのほか……ラードでハムカツを揚げていた山ちゃんが突如エコ化してロハスな店になってしまったり、金城ブラザーズの出演する番組が「エンタの神様」だったり、芸人の書く私小説がベストセラーになってしまったりという、最近の現実世界のリアルが随所に登場します。

サービス精神旺盛すぎて強引になってしまっているストーリー展開ですが、織り込まれたリアルのお陰で、スッと入り込めてしまう。

祐太は、いつも笑顔だけど、目が笑っていない男という設定。そういえば、阿部サダヲさんという役者は、いつも目が笑っていない。脚本家の宮藤官九郎さんはそのあたりを鋭く見抜いて役柄に反映する。

また、祐太には裏の顔があり、陰と陽、ハレとケを演じ分けることができる稀有な俳優・阿部サダヲさんの魅力炸裂。この人の振り幅の大きさは天才的ですね。

細かいやり取りが笑えて、大きな流れが泣かせる。ハムカツが美味しそうに見えなかったことだけが残念。

☆11月14日より東宝系にて全国ロードショー

2009年11月02日
なくもんか
乾貴美子
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