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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

あっという間の3時間半「沈まぬ太陽」

「沈まぬ太陽」、大作です。上映時間3時間22分ですもの。かつて黒澤明監督の「七人の侍」「赤ひげ」やドキュメンタリー映画「東京裁判」がそうであったように、途中で10分間の休憩が入ります

……と聞くと、長くて疲れそうなので、正直観(み)るのは億劫(おっくう)でした。けれど、途中の休憩なんていらないくらい息もつかせぬ展開。あっという間の3時間半でした。

昭和30年代のお話。
航空会社に勤める恩地元(渡辺謙)は、労働組合委員長として会社と闘っていました。労働環境の改善や賃金アップを会社に迫ったところ、懲罰人事としてパキスタン、イラン、ケニアに飛ばされます。その間、恩地の子ども達(柏原崇、戸田恵梨香)は「お父さんは会社で悪いことをした」と学校で誹謗(ひぼう)中傷され続けていました。妻のりつ子(鈴木京香)は夫の選ぶ道を支えながらも、つらい思いをしています。
ようやく本社に復帰できたのは10年後。その10年間のあいだに、かつて労働組合で一緒に戦った同期の行天四朗(三浦友和)は、会社側に寝返ることと引き換えに、エリートコースをひた走っていました。
恩地が本社でも冷遇される中、航空史上最大の事故が起きます。ジャンボ機が御巣鷹山に墜落したのです。恩地は遺族のお世話係に就任。会社の建て直しを図ろうとする新社長の国見(石坂浩二)は、会長室の室長に恩地を抜擢(ばってき)するも、自分が会長室にいたら、またあつれきが生まれると、恩地は辞退するのでした。

これでもかというくらいに恩地がひどい目にあっていくサド映画! 遺族のために、会社のために、また自分の家族のために、恩地はどのような生き方を選ぶのでしょうか。

航空会社取締役に西村雅彦、労働組合の仲間に香川照之、行天の愛人スチュワーデス役に松雪泰子……と豪華キャストが登場。躍動感あふれる海外ロケの映像も素晴らしく、1カット1カット、入念な準備を重ねて撮影されたことが伝わってきます。

企業中での出世争いや労働組合の話なので、会社勤めの経験がない私がどこかに共感できたわけではない。そんな会社ならやめてしまえばよいのに、と思わなくもないのですが、恩地のように、なにがあっても会社をやめない世代が日本の高度経済成長を支えてくれたのだと思う。きっと、自分の父や祖父は、多かれ少なかれ恩地のような境遇を経験し、恩地のような心意気で仕事をしていたのではないだろうか。そんなことを考えると感謝と尊敬の念で胸がいっぱいになります。

なんというか、特攻隊の映画を見ているような気分でした。特攻に出る気持ちは理解できないけれど、特攻隊がいてくれたからこそ今の日本が、今の自分たちが存在できることに心から感謝するような後味。

☆10月24日(土)よりTOHOシネマズ スカラ座ほか全国ロードショー

2009年10月20日
乾貴美子
沈まぬ太陽
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