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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

自分が裁判員だったらどうするか、考えながらの「さまよう刃」

「自分の家族が殺人事件の被害者になったらどうしよう」と考えてみることはあるが、「自分が加害者になる」なんて、想像したことすらありませんでした。まさか、私が人を殺すわけがない。けれど、もし自分の家族が誰かに殺されたら、私の心の中には復讐(ふくしゅう)の気持ちが芽生えてしまうだろう。もし、もし、それを実行してしまったら、私の家族を殺した犯人と、犯人を殺した私は、どちらの罪が重いのだろう?

学校から帰宅途中の絵摩は、車に引きずり込まれ、薬物を注射されたあげく強姦(ごうかん)され、死亡してしまいました。翌朝川べりで死体が発見され、父親の長峰(寺尾聡)は絶望の淵(ふち)に立たされます。重樹は数年前に乳がんで妻を失い、男の手ひとつで絵摩を育てていたのでした。刑事の織部(竹野内豊)真野(伊東四朗)は捜査を進めるものの「遺族はどんなことでも知りたがる。だけど、知れば知るほど苦しむことになる」と、捜査の進展状況を教えてはくれません。

そんなある日、長峰の自宅の留守電に、何ものかの声で、犯人の名前と居場所が吹きこまれていました。犯人とされる男のアパートに行くと、絵摩がレイプされ絶命した時の様子を録画したビデオテープがあり、怒りに震える長峰は帰宅してきた男を包丁で刺し殺してしまうのでした

留守電メッセージによると、絵摩を殺した犯人は2人いるらしい。長峰はわずかな手掛かりを頼りに、もう一人の犯人の復讐に行くのでした。

長峰の動向を察知した警察は、当然、長峰が第3の殺人を犯すことを避けようとします。けれど長峰に同情した織部は、長峰が有利になるような情報を流してしまうのでした……。

我が子を殺された長峰役の寺尾聡さんは、おさえた演技で悲しみや絶望を有弁に語ります。悲しみをたたえた瞳が、切なすぎる。

そして、長峰が潜伏していたペンションのご主人・山谷(木島隆明)が泣かせます。「俺(おれ)だって、あの人と同じ、娘を持つ父親だ」と長峰に共感し、長峰を守ろうとするのです。

しかし、長峰が殺人を犯し、裁判になれば、あのご主人も殺人幇助(ほうじょ)の罪に問われてしまうのだろうか。

それぞれの立場に、それぞれの正義がある。けれど、殺人は、どの立場から見ても許されない行為です。殺人者となった長峰にも警察にも感情移入してしまうのだけれど、どうすれば皆が幸せになれるのか全く分からない、暗闇の中をさまようような映画もし自分が裁判員としてこの事件を担当することになったらどうするか考えながら見ましたが、いまだ答えが見つかりません。

※10月10日より全国ロードショー

2009年09月28日
さまよう刃
乾貴美子
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