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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

親族への臓器提供を断ったら…?「私の中のあなた」

日本では、臓器移植法が問題になっている。臓器移植とはどのような基準で誰に対し行われるべきなのか、そもそも体内の器官を他人に移植してよいものなのか答えが出せずにいる状況は、諸外国でも同じのようだ。

キャメロン・ディアス主演、「リトル・ミス・サンシャイン」で史上4番目の若さでアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたアビゲイル・ブレスリン共演の「私の中のあなた」(原題「My sister's keeper」)は、妹が姉への<臓器提供を断ったらどうなる>をテーマに描かれている。

妻・サラ(キャメロン・ディアス)と夫・ブライアン(ジェイソン・パトリック)は、長女・ケイト(ソフィア・フィッツジェラルド)とその弟・ジェシー(エヴァン・エリングソン)という二人の子宝に恵まれ、幸せに暮らしていた。

しかし、ケイトが2歳の時に白血病に侵され、親族からでは型が一致せず骨髄移植を行えないことが分かる。絶望のふちに立たされた夫妻に担当医は、オフレコの提案をする。遺伝子操作でドナーにぴったりの子どもを作ってはどうかと。

 「ケイトは絶対に死なせない」と硬く決意したサラは、次女アナ(アビゲイル・ブレスリン)を出産。以後、アナはケイトのドナーとして、臍帯血(さいたいけつ)をはじめ様々なものを提供してきた。

しかし、11歳に成長したアナは、腎不全に苦しむケイトへの腎臓の提供を断る。「自分の体のことは、自分で決めたい」と、臓器提供を強要する両親を法的に訴えたのだった

アナが雇った敏腕弁護士は自分の体が自分の自由にならない病気を抱えていたり、裁判の判事は交通事故でまな娘を失ったばかりだったり、脇を固める役柄にもどこか死の影がつきまとう。私はどの立場も経験したことがないけれど、的確な演技と演出のおかげで、すべての人物の心情が痛いほど伝わってくる。シーンごとに語り手が変わる作りになっていることもあって、ひとつの出来事を複眼で見ることができる映画だ。

この内容なら、いくらでもお涙ちょうだい的演出をすることはできただろう。けれど、自身も心臓病の子どもを抱えているというニック・カサヴェテス監督は、そうはしない。映画のトーンが暗くならぬよう、努めて明るく、明るく演出している(キャメロン・ディアスのおなじみ“ガハハ笑い”も随所に健在だ)。

例えば、ケイトと同じ病気に苦しむ仲間が亡くなるといった泣かせ所はサラリと演出し、逆に、ドレスアップしたケイトの写真撮影をしているだけの、ありふれたシーンで号泣させられたりする。

難しいテーマを扱っているのに、観たあとで気がめいることはない。アナが臓器提供を断った本当の理由が分かってからは、生も死も肯定したくなるような、晴れ晴れとした気持ちにすらなった。特にラストのせりふを聞いて救われる人は多いと思う。私ももちろんその一人だ。

★10月9日より全国ロードショー

2009年07月31日
乾貴美子
私の中のあなた
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