朝日新聞がビートルズ世代に贈る、こだわりエンターテインメントサイト

メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

  • トップ
  • 地球発
  • マネー
  • ライフスタイル
  • 極める
  • からだプラス
  • エンタメ

エンタメ

  • 映画散歩TOPへ

映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

そこが映画館でなければ正坐して観たい「台湾人生」

何度か台湾を旅したことがある。
応援スタイルなどに昔の日本プロ野球の面影を残すという台湾野球を見たり、日本の温泉街そっくりだという台湾の温泉地をめぐったりする旅をした。
すると毎回、高齢の台湾人の方から

「日本人? どっから来た? わたし日本語話せるよ」 

などと話しかけられて驚いたことがある。

台湾はかつて日本が統治していたということは教科書で習ったので知っていたが、日本語や、日本名を強要していた国の人間に対し、かくも親近感をもって迎え入れてくれるのはなぜなのだろうと不思議で仕方なかった。
酒井充子監督のドキュメンタリー映画「台湾人生」は、1895年から1945年まで、51年ものあいだ日本の統治下にあった台湾で、日本語による学校教育を受けた「日本語世代」の声を集めた作品です。

「どうして、戦後わたしたちを捨てたのか?」
「政府から、台湾の軍人軍属の皆さん御苦労さまでしたの一言が欲しい」
「日本のために戦争で死んだ台湾人たちのためにも、政府は保障をするべきだ」
「小泉あっぱれですよ。もっと靖国神社に参拝して下さい」


日本に対する恨み節は当然出てきます。しかし、その言葉の裏からは、深い深い、日本への愛情が感じられる。どうしてこんなにも日本を好きでいてくれるんだろう。

「特攻隊行ってますよ、わたしが男だったらね」
「池の坊だって礼儀だって、20歳までに全部習ってますよ。いまの若い日本人よりわたしの方がずっと日本人ですよ」


私は特攻隊に行く勇気はないし、生け花だって中途半端にしかやったことがない。いまの時代その二つが日本人であることの条件という訳ではないけれど、かつての日本で、日本人が持っていた心を持っている台湾人だから、いまでも日本を好きでいてくれるんだろう。旅して感じた私の疑問の答えが分かった気がする。重要なのは生まれた場所ではなくて、どの場所(国)の心を持っているかなのだということを教えられる。

80歳を過ぎたご老人ソウ・テイコクさんは、日本統治時代に担任だった先生の墓参りのために毎年来日します。仏花を買い、ソウさんが「先生の影響を受けています。先生のこと、絶対に忘れられません」と語るシーンでは涙が止まらなくなってしまいました。日本人として、申し訳ないことをしてきたなという恥ずかしさと、人と人が魂の部分でこんなに繋(つな)がれるって、なんて素晴らしいんだという思いで。

ソウさんの孫は、大学で4年間、日本語を勉強しています。ソウさんの影響で日本語を専攻しているのはもちろんのことでしょう。

台湾で受け継がれる日本の心を目の当たりにして、日本人としてもっとしっかりしなくてはと襟を正された。もちろん戦争についても、もっとしっかり考えてみなくては。

台湾人生公式サイトhttp://www.taiwan-jinsei.com/

2009年07月02日
乾貴美子
台湾人生
トラックバック (0)
  • バックナンバー

ライター紹介

ココログ

画面トップへ

※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Firefox 1.0以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。