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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

役所広司“監督”作品「ガマの油」

例えば、「おくりびと」の本木雅弘さんの役は役所広司さんでも成立したような気がするし、「GOEMON」だって役所さんが出ていたらもっと面白くなっていたかも知れない……というくらい、役所広司さんという役者は、どんなタイプの作品にもハマってしまいます。アクが強くて本来悪役向きの顔立ちなのに、人の善さが隠しきれず、笑うと思いっきり善良な人物に見えてしまうというまれな存在感で、どんな役も自分のものにしてしまう。

 

で、実際かなりの数の作品に出演してらっしゃいますが、おそらくこの役は、“監督”が役所広司でないかぎり、役所広司さんはキャスティングされなかっただろうなぁ~というという感じの新境地。「どんなもんじゃい!」と大股開きでガキ大将のように叫ぶ役所広司を、誰が想像しただろうか。見たことのない役所広司が、そこに映っていた。

あぶく銭を稼ぎまくっているデイトレーダー矢沢(役所広司)は、優しい妻(小林聡美)と温和な息子・拓也(瑛太)との三人暮らし。拓也の幼馴染・サブロー(澤屋敷純一)が少年院から出てくることになり、身元引受人になるが、サブローを迎えに行く途中で、拓也が交通事故に遭ってしまう。拓也の恋人(二階堂ふみ)からかかってきた電話に、矢沢が拓也のふりをして応答したことから暖かな心の交流がはじまる、、、はずが、、、物語は時空を超えて、不思議な展開を見せる。

サブロー役の澤屋敷純一さんは現役K-1ファイターで演技がはじめて。恋人役の二階堂ふみさんも映画初出演。重要な役どころ二人の初々しい演技がそう感じさせるのだろうか。それとも、奇想天外なストーリーがそう感じさせるのかは分からないが、良い意味で<いびつな映画>に仕上がっているところがよい。

映画にはたくさんの人や会社の思惑が絡んでくるので、多くの人の意見を総合した結果<まとまりのよい映画>に仕上がってしまうことが多い。しかし、「ガマの油」には、笑い処と泣かせ処を作って、万人受けするエンタテインメントにしようとか、問題提起して社会派映画にしようとか、そういった計算が全く感じられず、とにかく監督の撮りたいものを撮った勢いがある。

完成形を考えずに、その時面白いと思ったものを撮影した感じなので、映像の純度が高い。完成形が分からないまま演技しているので(たぶん)、役者さんたちが型にはまることなく、とても自由に、伸び伸び、生き生きしている。

あまりにもたくさんの作品に出演してきた結果、役所広司さんは原点回帰して、役者が自由に演技できる映画を作りたくなったのかな、とそんな気もしました。

★6月6日全国ロードショー

2009年05月22日
ガマの油
乾貴美子
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