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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

質問:なぜこの作品はそれほど多くの人に愛されたのか? ~スラムドッグ$ミリオネア

あなたにとって普通のこと、常識が、他の人にとっても同じとは限らない。まして階級、貧富の差が激しいインドではなおさらのこと。「スラムドッグ$ミリオネア」をみて痛感に感じることだ。今年のアカデミー賞で作品賞、監督賞を含む、最多8部門をさらった話題作。文句なしの栄冠だ。

主人公のジャマールは、今、国中の注目を浴びている。彼は、高額賞金で人気のテレビクイズ番組「クイズ$ミリオネア」の挑戦者で、あと1問正解で、番組史上最高賞金の2千万ルピー(約4千万円)の獲得にせまっている。ムンバイのスラム街の育ち、無学の18歳の青年が、なぜここまでこぎつけたのか? 不正疑惑の目が向けられた彼は、最終問題の挑戦前に、警察の取り調べを受けることになる。

これが単なる一獲千金の夢物語を描いた作品だったら、ここまで多くの観客、批評家に愛されはしなかっただろう。何といっても語りがうまい。徐々に明らかになっていく、ジャマールのこれまでの人生。ムンバイのスラム街の混沌(こんとん)さ。においと埃(ほこり)にむせかえりそうになる、ディープな世界がそこにはある。そして、過酷な環境で生きる者たちの、あふれんばかりのパワー。リオデジャネイロのスラムで生きる若者たちを描いて絶賛された「シティ・オブ・ゴッド」(2003年)を彷彿(ほうふつ)させる。

作品全体には決して悲壮感でなく、ポジティブなエネルギーが満ち満ちている。棒きれのような手足をしたやせっぽちの主人公は、決して目の輝きを失わない。いつも瞳をキラキラさせ、優しさとユーモアを忘れず、希望を捨てない。観客はだれもが彼を応援せずにはいられない。

英国人監督のダニー・ボイルは、「トレインスポッティング」(1996年)でロンドンの薬物中毒の若者たちの姿を軽快なテンポで描いて注目を浴びた。本作で再び、その名を世界中に知らしめている。

無名の役者、わずかな製作費、インドで撮影された作品が、なぜこれだけ多くの人の支持を集めたか? ぜひその答えを見つけに、劇場に足を運んでほしい。

★4月18日(土)より、TOHOシネマズシャンテほか全国順次ロードショー

2009年04月09日
スラムドッグ$ミリオネア
近藤深雪
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