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映画散歩

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過去を振り返りたくなる ~ベンジャミン・バトン 数奇な人生

本年度のアカデミー賞で最多の13部門にノミネートされている、ブラッド・ピット主演作。ブラピ演じるベンジャミンが、生まれた時が80歳の風ぼうで、年を取るにつれて外見は徐々に若返っていくというストーリー。2時間48分と長い作品だが、長さを感じさせず、楽しい時間を過ごすことができた。

 本作を見る前は、普通に年を取っていく人々、特にケイト・ブランシェット演じるデイジーとの関係がどうなっていくのか興味深かった。テレビCMでは若くなっていくベンジャミンと普通に年老いていくデイジーの映像が流れていたし、同年代の時に生きる2人のシーンも予告にあったが、どんな風に出会い、交わり、別れるのかが楽しみだった。

 ブラピとケイトとの共演で思い出すのは、2年前にアカデミー賞をにぎわせた「バベル」。世界がつながっているという壮大な構想だったような記憶はあるが、あまり心に残ることもなかった(嫌いではなかったけれど)。しかし今回は比べものにならないくらいに良かった。違うベクトルで動く2人が交わり、別れていくタイミングの妙……見る前に抱いていた期待感を満足させてくれた。CGや特殊効果が使えない舞台ではなく、スタート時に引きつけるような場面設定が必要なTVドラマでもなく、ゆっくりとしたスタートから徐々に話を積み上げていけ、1人の俳優が年老いた場面から若い場面まで違和感なく見せることができうる映画だからこそ実現できた作品だし。

 映画の前半部分はベンジャミンの年老いた風ぼうの場面。周囲の人たちも当然のように老人たちで、これから若くなっていく彼には辛い、別れの連続。そして、大人になり恋や様々な経験を積んで大人になっていく。心と体の成長が逆なので不思議な感じだが、心と体のタイミングがほぼ合致した期間は、普通の生活の喜びや周囲の人たちと異なっていく自分への不安が上手に表現されている。

 子供に戻った時期は表現するのか難しいだろうと思っていた通り、描写は少なかった。ただ、赤ん坊として最後に目を閉じるシーンは、とても印象に残るうまい演出だと感心した。ぜひ見てもらいたいシーンだ。

 自分の身近にいる人が会うごとに若くなっていくなんて、予想できる人はいないだろうし、どうやって接すれば良いかなんて考えられない。だからこの映画は楽しい。人は周りの人に支えられてしか生きることはできないし、起こってしまったことは取り戻せない。こんな当たり前のことをしみじみと感じてしまう作品でもある。

 この映画が観客に最後に感じさせたかったのは、やはり人生はやり直せないし、記憶はどんどん無くなっていく、ということなのだろう。若くなっていこうが年老いていこうが、人はみな人生の最後、死という同じ方向に向かって進んでいるのだ。見終わった後に、ふっと今までのことを思い出したくなる作品だ。

2009年02月09日
アーリー
ベンジャミン・バトン 数奇な人生
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