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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

伊丹十三さんにも見て欲しかった「ラーメンガール」

 日本を舞台にアメリカ人監督が撮影した「ラーメンガール」

 西田敏行さん、ハリウッド進出第一作目です。

 恋人を追って日本に来たものの、彼から疎ましがられ捨てられてしまうアビー(ブリタニー・マーフィー)。泣き明かす夜、アパートの向かいのラーメン屋に飛び込み、まったく英語の通じない店主(西田敏行)に悩みをぶち明けるのでした。気性の荒い店主はつべこべ言わずに食え!とばかりに一杯のラーメンを差し出す。そこからアビーの人生は急転。今までひとつとして仕事を続けられない根性なしだったのに、店主に弟子志願。ラーメン職人を目指すと言うのでした。

 これが日本人同士の話だと、横暴な師匠と理不尽に耐える弟子の物語になってしまう。しかし主人公はアメリカ人女性なので、弟子のくせに気が強い、気が強い。無理を言う店主と反論するアビーの攻防が見ていて爽快! なぜか終始アビーの声が枯れているのも、大声で言い返してばかりの女の子というリアルさが出ていて面白い。

 西田敏行さんは体形からしてどの角度から見てもラーメン屋の店主。この人が作ったラーメンならおいしいに違いないと(おそらく世界じゅうに)感じさせるナイスキャスティング。横柄で無神経な男に思わせておきつつ、実母に会いに行くシーンでは親思いのかしましい息子の一面を見せたりする。この辺りの演じ分け、演技の振り幅の大きさは西田さんの真骨頂!

 日本映画を撮る時は、事前に細かくカット割りが決められていて、それに沿って一言一言撮影していくのが基本だそうです。でもハリウッド方式は、ひとつのシークエンスを離れた場所から撮影して、次に全く同じシーンを俳優Aの顔をアップにした状態で撮影して、そのあとさらに同じシーンを俳優Bの顔アップで撮影して・・・という具合に、様々なカメラ位置から同じシーンを何度も何度も撮影するそうです。とりあえず全部撮影して、編集の段階でカット割りを考えるのかしら。西田さんいわく、日本映画より撮影が大変だったそうな。

 とはいえ撮影は都内のスタジオで行われているし“南平台“なんて見慣れた道路標識が映ったりするので、ハリウッドの映画を見ているような感覚は……ほとんどない(笑い)。日本カルチャーが大好きな、在日アメリカ人監督の作品のよう。

 ロバート・アラン・アッカーマン監督は、伊丹十三監督の名作「たんぽぽ」に影響されてこの作品を撮ったそうです。たしかに湯きりのシーンなど「たんぽぽ」の影響を感じさせるシーンがちらほら。今まで「小津安二郎にインスパイヤされて」とか「黒澤明に憧(あこが)れて」映画を作った外国人監督は何人もいたと思うのですが、伊丹作品の影響を受けたと公言するハリウッド監督ははじめてでは? 

 そういえば伊丹さんの遺業を記念して、2009年3月に第一回伊丹十三賞の発表がありますね。「ラーメンガール」に外国人特別賞でも授与してみてはどうだろうか。

☆2009年1月17日(土)、テアトル新宿にて公開

2008年12月18日
ラーメンガール
乾貴美子
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