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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

2008年版 私は貝になりたい

 1958年にTBSで放送されたドラマ版を再放送で見たのか、59年映画版(どちらも主演はフランキー堺氏)をテレビで見たのか記憶は確かではないが、<私は貝になりたい>と独白するモノクロ映像を鮮明に覚えている。

たしか小学生の時に見たのだと思う。父と母に、絶対に見ておきなさいと言われて見たのを覚えている。当時の感想は・・・・・・・恐怖。戦争への恐怖、死への恐怖、家族と別れる恐怖。その後もたくさんの戦争映画・戦争ドラマを見たが、最も痛烈に戦争の悲惨さを教えてくれたのが「私は貝になりたい」だった。

 高知の田舎で理髪店を営んでいた清水豊松。戦時中で白いご飯にもありつけない中、妻子と共にどうにかこうにか生活している。そんな中、赤紙が届き、家族と離れて本土防衛のための部隊へ。敗戦後、生きて家族の元に帰るが、アメリカ兵捕虜を虐待したとして逮捕。実際にはおじけづいてけがを負わせただけだったのに、またしても家族と引き離され、戦犯として裁判に・・・。

 これは豊松だけの物語ではなく、戦時中に生きたすべての人にこういった悲劇のドラマがあることを考えると、胸が痛んで、痛んで、どうしてよいか分からなくなる。

かつての作品はスタジオ収録がメーンだったが、今回の映画版では、スタッフが日本の海岸線をほぼ一周して探したという崖(がけ)の景色や、雪山などの実景が物語を支える。特に、豊松が遺書をしたためながら回想する故郷の荒波が恐ろしくも美しく、豊かな自然に囲まれつつありがたみを忘れ、蛮行を繰り返す人間を諭しているかのようだ。物言わぬ風景が、有弁に語る。

また、CGで再現された巣鴨プリズムの全景が生々しく、現在の池袋サンシャインの場所がかつてこれほど荒涼としていたかと思うと、現代に生まれて申し訳ない気持ちにすらなる。

 フランキー堺さん、所ジョージさんと、代々コメディアンが演じてきた清水豊松を、今回演じるのはSMAPの中居正広さん。妻・房江を演じるのが仲間由紀恵さん。2人がハマリ役だったかどうかの議論はさておき、2人のように時代の顔であり、集客力のある役者さんが演じることが大切なのだと思う。時代を超えてリメークされ続ける必要のある作品だと心から思う。

☆全国東宝系ロードショー

 

2008年11月21日
乾貴美子
私は貝になりたい
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