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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

自閉症の妹を記録した「彼女の名はサビーヌ」

ベネチア国際映画祭最優秀女優賞セザーヌ賞主演女優賞などの受賞経験を持ち、日本では「仕立て屋の恋」の主演としてよく知られているサンドリーヌ・ボネール自らの妹を記録したドキュメンタリーフィルムです。

11人兄弟の7番目に生まれたのがサンドリーヌ。そして1歳違いの妹は自閉症でした。

ひとくちに自閉症といっても症状はさまざま、程度も幅広いそうですが、日本では1歳頃「指さしをしない」「名前を読んでも振り向かない」など、いくつかの特徴により自閉症が疑われ、3歳頃の発達の度合いにより診断されることが多いそうです。

しかし、サンドリーヌたちが住むフランスで、自閉症を取り巻く環境は日本と異なります。サビーヌは小さい頃から特別なケアを必要としていましたが、それが自閉症と診断されることはありませんでした。学校では受け入れられず、ふさわしい施設も見つからないまま、サビーヌは家庭という社会の中だけで暮らしてきました。

幼少のころはピアノの才能を発揮し、自立した生活を送れたサビーヌでしたが、姉妹兄弟の独立や兄の死をきっかけに暴力的な行動が増え始めます。それでも自閉症と診断されることはなく、28歳で精神科病院へ入院。病院の中で5年間も過ごし、退院時は自分で自分のことがなにも出来ない状態に変わり果てていました。

姉であるサンドリーヌの回すカメラが、かつてのサビーヌから退院後の現在の姿まで克明に記しています。

かつてのサビーヌは、女優であるサンドリーヌより美しいのではないかと思うほどの美貌(びぼう)を持ち、生き生きとしていました。しかし退院後は瞳から魂が消え別人のよう。現在は施設で暮らしていますが、不安に襲われたり、思い通りにならないことがあると突然嚙(か)みついたり、大声をあげたりします。そしていく度となく繰り返される質問、「サンドリーヌ、明日も来てくれるの?」

ともに施設で暮らすオリビエという青年は、てんかんの症状があり、散歩していても、休んでいても、突如倒れて硬直してしまいます。オリビエの母親はカメラの前で、息子の将来を案じ、障害を持たせてしまったことへの罪悪感を語ります。

家族が抱える不安や、なんとなく社会から隔離されてしまう現状は、自閉症に限らず多くの障害や病に共通のものでしょう。病や障害を抱えて自分とちょっと違う人に出会った時、私はついつい「遠慮して」立ち入った話を聞くことをためらってしまう。その遠慮が「なんとなく社会から隔離されてしまう現状」を生んでしまうのだと思う。

本当は、すごく知りたいのに。
知って、分かりあいたいと思っているのに。

けれど、興味本位だと思われているのではないか、とか、話しかけてイイ人だと思われようとしてるなんて感じられたら嫌だな、とか、様々な感情が私の知りたい気持ちの邪魔をする。

ドキュメンタリーフィルムは、そういった思惑を気にすることなく「知る」ことが出来る素晴らしい手段です。「知った」からといって私に出来ることはほんのわずかだが、なによりも「知る」ことが大切だと思う。

★2009年2月、渋谷アップリンクほか全国順次ロードショー

「彼女の名はサビーヌ」公式サイト

2008年11月05日
乾貴美子
彼女の名はサビーヌ
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