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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

飛行機も映画も職人技!「HAPPY FLIGHT」

「ウォーターボーイズ」しかり「スウィングガールズ」しかり、矢口史靖監督は、みんなが知らなかったマニアックな世界を万人受けするよう提示するのが本当にお上手です。

新作で取り上げたテーマは、飛行機の裏側。
機長を目指して昇格試験を受ける副操縦士、はじめて国際便で働くキャビンアテンダント(CA)、先輩にしごかれる整備士、新しいコンピューターシステムについていけないオペレーションディレクター・・・客として飛行機に乗り込むだけではうかがい知ることが出来ない、プロフェッショナルで、おちゃめな人物が魅力的に描かれています。

航空用語が注釈なしに使われていますが、言葉の意味が分からなくてもストーリーはちゃんと理解できるようになっているところがすごい。グランドスタッフが飛行機内に荷物を運ぼうとして「ハッ」と気づいて足を引っこめる、そんな些細(ささい)なしぐさから“飛行機内に入れるのは操縦士とCAだけ”というルールを知ることが出来たり、野暮なセリフなしで航空業界のしきたりを理解できるところも面白い。

管制塔で働く人たちが、飛行機型のお菓子を食べているだけなのに、ついつい安全な間隔にお菓子を並べてしまっていたり、職種を知り尽くした描写が笑いを誘います。

おそらく監督は飛行機についてマニアックに調べあげているが、面白い部分だけを拾い上げ、普通の人にも伝わるよう翻訳してから映画にしている。飛行機マニアとして映画にしたい部分はもっと他にもあるが、自分の趣味とみんなが見たいであろうシーンをちゃーんとすり合わて映画にしている。でないと1時間43分にはまとめられないはずだもの。自分主義にならないこのバランス感覚こそ、矢口監督の職人技という気がします。

笑いだけでなく、涙も誘います。操縦士、CA、地上の職員それぞれが、トラブルを乗り越え頑張る姿に泣かされるですが、特筆すべきは、冒頭ワンシーンしか登場しないのに最後まで存在を感じさせる柄本明さんのすごみ! 

柄本さんは、はじめてCAとして国際便に搭乗する綾瀬はるかさんの父親役です。娘の仕事ぶりが心配で空港までやってくるのですが、終始無言でうつむき、搭乗口へと急ぐ娘に下痢止めの薬を「これ」と言って差し出す。そんなちょっとしたしぐさだけで、親としての不安やら、CAとして働く娘を誇りに思う気持ちが伝わってきて、こちらも感涙! 映画に登場するすべてのキャラクターにもそれぞれ家族がいて、危険が伴う職場で働くことに対して複雑な感情を抱いているんだろうなぁ~なんてことも感じさせるすてきなシーンでした。

他に出演者は、田辺誠一さん(副操縦士)、時任三郎さん(機長)、吹石一恵さん(先輩CA)、寺島しのぶさん(チーフCA)ら。メーンキャストも、あまり有名でない役者さんたちもナイスキャスティングで、いかにもいそうな感じ。

ホノルル行きNH1980便が離陸してから着陸するまでの物語だが、ハワイへ行くより断然面白い!!

2008年10月23日
ハッピーフライト
乾貴美子
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