朝日新聞がビートルズ世代に贈る、こだわりエンターテインメントサイト

メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

  • トップ
  • 地球発
  • マネー
  • ライフスタイル
  • 極める
  • からだプラス
  • エンタメ

エンタメ

  • 映画散歩TOPへ

映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

笑って泣ける、らしい、「パコと魔法の絵本」

いま日本で一番面白い芝居を書く“後藤ひろひと”さんの舞台を、「下妻物語」「嫌われ松子の一生」の中島哲也監督が映画化した「パコと魔法の絵本」。原作の舞台と映画化された作品を比べるのは野暮(やぼ)なこと、と思いつつ、両方見たのでついつい比べてしまいました。

<<ストーリー>>・・・変な人ばかりが入院している病院での出来事。「お前が俺を知っているというだけで腹が立つ」とのたまう性格の悪い老人・大貫(役所広司)は、賠償金を支払わわせるだけのために入院しているオカマ(國村隼)や、消防車にひかれた消防士劇団ひとり)、被弾したヤクザ(山内圭哉)たちから嫌われていました。しかし、事故の後遺症で記憶が一日しか持たない少女・パコ(アヤカ・ウィルソン)と出会い、「彼女の心の中にいたい」と願うようになります。そして毎年夏に行われるイベントで、パコのために、パコが大切にしている絵本をお芝居にしようと提案するのでした・・・。

偏屈ジジイが無垢な少女と出会い、人間らしい心を取り戻していくまでの物語。映画版では、ファンタジー映画らしく豪華で夢のある衣装を身にまとった俳優たちがのびのびと楽しそうに演技している。“現実世界ではない”という設定とカラフルな装置は、こんなにも俳優の気持ちを解放するものなのかと驚いてしまいました。

しかし、メリーゴーラウンドのような色彩とスピードを優先した結果、舞台版での泣かせ所だったサブキャラのエピソードがすっ飛ばされ過ぎです。

いえね、夫を社長にしたいがためにおべっかを言う看護婦(小池栄子)とか、自殺未遂で入退院を繰り返す元有名子役(妻夫木聡)とか、キャラクターとエピソード自体は全部原作通りに登場するんです。でも、それに関してのオチが披露されるまでのフリやタメが短すぎて、全然心に染みないんですよね。

舞台を見た時は、最後に消防士が放水するシーンで泣きそうになったし、ヤクザを撃った相手が分かった時は爆笑したんだけどな。映画はサブキャラがサブのままで終わってしまっていて残念でした。

偏屈ジジイも役所広司さんが演じると、役所さんご本人のお人柄のよさがどうしてもにじみ出てしまって嫌いになれない。消防士の劇団ひとりさんや医師役の上川隆也さんはナイスキャスティングでした。
もちろん映画の方がよかった面もあります。舞台ではそもそも「記憶が1日しか持たない少女」という設定や少女の行く末を“あざとい”と感じましたが、不思議とスクリーンで見ると違和感がないんですよね。このギミックこそ中島監督の持ち味のような気がします。

★9月13日(土)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほかでロードショー

2008年09月03日
パコと魔法の絵本
乾貴美子
トラックバック (0)
  • バックナンバー

ライター紹介

ココログ

画面トップへ

※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Firefox 1.0以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。