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映画散歩

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タイ式マッサージで魂を解放 ~七夜待

『萌の朱雀』『殯(もがり)の森』の河瀬直美監督の最新作は、今まで舞台にしていた故郷・奈良を飛び出し、異なる言語と文化の中で撮影されたといいます。

<ストーリー>
30歳の彩子(長谷川京子)が、日本を飛び出しタイに降り立つ。これは人生をリセットするための旅だ。だがタクシーで宿泊先へ向かう途中で、危険な山道に連れて行かれ、怖くなり荷物も持たぬまま逃げてしまう。山中でたどり着いたのは、タイ人の親子(轟ネーッサイ、轟ヨウヘイ)とフランス人(グレゴワール・コラン)が暮らす民家だった。旅の行く末も分からず、言葉が通じないことから、彩子はいら立ち、まわりと衝突する。しかし2者が密着して行うタイ式マッサージを体験するうち、いつしか周囲と通じ合い自分も解放されていくのだった…。

冒頭の、タイに到着した瞬間のシーンは、これからどうなっていくのかドキドキするような仕上がり! 暑くて、空気が悪くて、人がごった返していて、活気に満ちていて、なんだか負けそう。そんなタイ都市部の印象がそのままスクリーンに表現されていて、迫りくる迫力。この臨場感は音響効果によるところが大きいと思います。周囲の話声や通過するバイクの音が、自分もそこにいると錯覚するほど立体的なのです。

しかし途中から“音”の部分でイラついてストーリーに入り込ません。ある一部のせりふだけ、その前後とブチっと切り離されたように独立していて違和感があるのです。自然の中のような柔らかい音から一転して、せりふ部分だけ湿度も温度も持たぬ無機質な音になっている。なに!?これ!??? と思ってパンフレットを読んだところ、“ミキサーのこだわりから、ほぼすべてのセリフをスタジオで録音し直した”と書かれています。出演者は、自分の演技を見ながら声を吹き替えたという訳です。録音状態が悪かったときなど“あてレコ”はごくごく普通に行われることですが、自然がテーマのひとつである今回の作品には不似合いだったのかも知れません。

さらに・・・細かい点ばかり指摘して申し訳ないですが、、、長谷川京子さんが肌に密着した服を着ているので、衣装の下に仕込んであるマイクのケーブルが透けて見えていて、萎(な)える。ドキュメンタリーのようなリアルな表現を求めた作品なだけに、一番見たくない部分だったような気がします。

タイの森林を映した部分は、さすがの美しさ。「萌の朱雀」ではワタクシ、森林風景の迫力に感動して号泣しました。緑を映画にさせたら、河瀬監督の右に出るものはいないと思います!

2008年09月26日
七夜待
乾貴美子
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