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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

気が滅入るが絶対に見た方がよい ~闇の子供たち

実父に売春宿へ売り飛ばされ、ブヨブヨに太った白人の相手をする少女……。母親くらいの年齢の女性の相手をするために、ホルモン剤を何本も注射され、死んでしまった少年……。客の要求を拒んだからと、ムチでたたかれ失神した少年……。エイズを発症し、売り物にならないからとゴミ捨て場に捨てられた少女……。先進国の子供に臓器提供するため、生きているのに心臓を奪われてしまった少女……。

タイを舞台に、幼児買春臓器売買をグロテスクに描いた梁石日の原作を読んだとき、フィクションであって欲しいと願わずにいられなかった。願う、というより、祈る、に近い感情だったかも知れない。日本でのうのうと生きている私には信じがたい、ショッキングな内容だった。

映画化に着手した阪本順治監督も、はじめは同じような気持ちでおられたそうです。しかし様々な資料をあたるうち、原作と同じく、足枷をはめられ鎖につながれた子供の写真を見つけて、小説の描写は精密な取材に基づいている、つまり現実だと確信されたそうです。

だから、映画だからといってオブラートに包んだりしない。残酷なまでに、原作の光景をそのまま映し出す。タイの少年を買う白人の醜い体も、少女を買う日本人の異常さも、そのまま。(単なる告発映画になるのを避けるため、ラストには原作にない要素が加えられていたが。)

主題歌が桑田佳祐と聞いて、何故そんなミーハーな選曲をするんだろう?と違和感を感じたが、桑田佳祐くらい俗っぽい声を聴いてからでないと、とてもじゃないが席を立てない。

江口洋介、宮崎あおい、妻夫木聡といった旬の俳優たちが、よくこの映画に出たな、と思う。タイと聞いて連想するリゾート地とはほど遠い、不衛生な場所でロケされた映画である。読んでいて気分が高揚する類の台本ではなかっただろう(私なんて映画紹介文書いているだけでも気が滅入る)。なにしろ同じテーマで映画を撮ろうとしたドイツ人クルーがマフィアに銃で襲われるような内容の映画だ。この作品作りにかかわったすべての人に頭が下がる。

デート向きでないことは間違いないが、絶対に見て、知っておいが方がよい一作だと思う。間違いなくこの作品で世の中の見方が変わる。(敬称略失礼)

「闇の子供たち」公式サイト

★7月シネマライズほかにてロードショー

2008年06月25日
乾貴美子
闇の子供たち
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