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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

死刑の次の日、新婚旅行へ。 ~休暇

 罪人を死刑にした翌日、新婚旅行に出掛けるのはどんな気分なんだろう。

 拘置所の看守をしている刑務官・平井(小林薫)は、美香(大塚寧々)とお見合い結婚することになりました。しかし、美香の連れ子の達哉(宇都秀星)は平井になつこうとせず、家族には一緒に過ごすための時間が必要でした。母の葬儀などで有給休暇を使い果たした平井に家族旅行の時間などなかったのでしょうが、死刑執行の際、下に落ちてきた死体を支える“支え役”を担当すれば、1週間の休暇が与えられることを知ります。勤務する拘置所で3年ぶりの死刑執行が決まり、平井は“支え役”を自ら名乗り出ます。同僚の三島(大杉漣)はそのことに激怒しました。“支え役”は休暇が必要なほど精神的にハードな仕事。死刑囚の金田(西島秀俊)は模範囚でしたが処刑が近づいていることを察知して混乱しています。職務とはいえ、他人の命を奪ったものが、翌日に家族と幸せを味わえるのだろうか・・・?

  「歓喜の歌」の小林薫さんがとっても素敵(すてき)だったので、小林薫作品は全部観(み)るぞ!とミーハー心丸出しで出掛けたのがこの映画。「歓喜の歌」とはうってかわって、暗く重いレクイエムが流れていました。
 処刑の翌日に旅行に出掛けるというシンプルなストーリー。そこにはにぎやかなアクションもお涙ちょうだいの心情吐露もない。けれど、ズシンと心のど真中に届くものがある。それは命の重さについて考えようというメッセージ。“命が大切だ”と押しつけてくるのではなく、“考えよう”という提案。

 もし、面識のある人物が殺されたらどんな気持ちになるのか・・・という想像はなんとなく出来る。でも、面識のある死刑囚が処刑されたら、それも目の前で処刑されたらどんな気持ちになるのか、正直なところ私にはよく分からない。映画を見終わってからずっと考えてはいるけれど、イメージできない。小林薫さんの演技は複雑で、いかようにも取れる表情をしているので(それが素晴らしいところだ!!)支え役がどんな気持ちになっているのか簡単には教えてくれない。だからこそ、この映画は考えさせる

 重大事件のニュースを見て「こいつは間違いなく死刑にした方がよい!」と叫んでいる時に自分が感じている死のサイズ。死刑囚の家族が感じる死のサイズ。自分の家族が亡くなった時の死のサイズ。病死のサイズ、事故死のサイズ・・・。今まで、死には様々な寸法があると思っていた。でもこの映画を見たら、全部同じ大きさなのかも知れないと思うようになった。

 でもその考えが正解とは限らない。死については、死ぬまで考えることになるのだろう。

★6月7日(土)より有楽町スバル座、お台場シネマメディアージュほかにて全国ロードショー

公式サイト

2008年05月29日
乾貴美子
休暇
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