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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

巨大企業の不正を暴け! ~フィクサー

訴訟王国アメリカでは、映画の題材に企業の不正、裁判を扱い重厚な人間ドラマを描いた傑作がいくつかある。ジョナサン・デミ監督の「フィラデルフィア」(1993年)は、エイズを理由に一流弁護士事務所を不当解雇された男(トム・ハンクス)と彼の弁護士(デンゼル・ワシントン)が差別、偏見に立ちむかう社会派ドラマ。またマイケル・マン監督の「インサイダー」(1999年)は、大手たばこ会社の不正を内部告発した元重役(ラッセル・クロウ)とTVプロデューサー(アル・パチーノ)の孤独な戦いを描いている。

そしてまた一つ、巨大会社の悪に立ち向かう男の物語が誕生した。「フィクサー」の背景となるのは、農薬会社の薬害集団訴訟。ここで英語に詳しい人なら、疑問に思うかもしれない。「フィクサー」と言えば、アメリカの法曹界で依頼人のトラブルを裏で処理する「もみ消しや」を意味する。信念をもって正義を追求する男とは程遠い。しかしこのフィクサーをメーンキャラクターにもってきたところに、この作品の面白さがある。
主役のジョージ・クルーニー扮するマイケル・クライトンは、エリートが集まるマンハッタンのケナー・バック&レディーン法律事務所の中で、在職15年たってもフィクサーとしての価値しかみとめられず、くすぶっている。一方、彼の同僚で敏腕弁護士のアーサー・イーデンス(トム・ウィルキンソン)は、3000億円にのぼる薬害訴訟で製薬会社の弁護を担当していたが、会社側にとって不利となる重大な秘密を握り、良心の呵責(かしゃく)から事実の暴露を決意する。そこで法律事務所の経営者はクライトンに問題の処理を依頼。事件の真相に迫るうちに、クライトンの身にも危機が迫ってくる。
監督、脚本は、「ボーン・アイデンティティー」シリーズの脚本をてがけ、ヒットメーカーとなったトニー・ギルロイ。本作では監督デビューを果たしているが、登場人物の心理変化を丁寧に描き、かつ息もつかせぬスリリングな展開で見る者の心を最後までとらえてはなさない。
ジョージ・クルーニーの演技は手堅いが、役に隠れることのない彼の強い個性は、哀愁を秘め、金と正義の間で揺れ苦悩する男の姿としては、いまひとつ物足りなさを感じる。一方、個人的には農薬会社の法務部長を演じアカデミー賞助演女優賞を受賞したティルダ・スウィントン以上に、精神のバランスを崩しながらも正義を願うトム・ウィルキンソンの迫真の演技が強く心に残った。

みゆき座ほかTOHO系全国ロードショー中

2008年04月14日
フィクサー
近藤深雪
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