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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

日本が誇る怪優の演技を堪能 ~世界で一番美しい夜

監督のやりたいことの純度100%の映画を見たような気がします。

<人間はなぜ不幸になるのでしょう?>
<文明が進んで、行き着く所まで来てしまった。子供達が安心してぐっすり眠れる夜を一晩も持てない。>
では、不幸の元凶である進歩のない瞬間を作るためには、世の人が全員がセックスに興じていればよいのではないか・・・という、酒場の猥談(わいだん)のようなテーマを生真面目(きまじめ)に映画化してしまったのが「世界で一番美しい夜」。

酔狂な話です。
でも馬鹿げた話だと笑って見過ごすわけにはいかない純情、情熱が、そこにはありました。

暴行容疑で左遷された新聞記者の一八(田口トモロヲ)が、日本の西のはずれにある小さな村にやってきます。村の支局の仲間は、飲んだくれの支局長(佐野史郎)と温和な石塚(松岡俊介)。一八はスクープを見つけて本社に帰ろうと、スナックの美人ママ・輝子(月船さらら)が絡んだ保険金殺人について調べはじめますが、輝子にはシャーマン的不思議な能力があるのでした。輝子に恋する仁瓶(石橋凌)は性による革命を起こすために、縄文時代からヒントを得た媚薬(びやく)作りに余念がありません。

そして革命の夜、新聞記者の一八は蛇になったのでした!! なんてストーリーを紹介しても、意味不明ですよね。しかし、ことの詳細を記すのはやぼというもの。前知識なく映画に酔いしれ、溜息(ためいき)をつくなり、感嘆の声をあげるなりしていただきたい所です。

素晴らしかったのは田口トモロヲさんの演技。決して眼力が強いわけでも、美しい顔立ちをしているわけでもないのに、(たとえば蛇になった瞬間のように)ひとたびスイッチが入ると異界の人となる。あの時の目が好き。たまらなく好き。

おかしな表現行為をする人を、今までにたくさん見てきました。その中でも一番どうかしてると思ったパフォーマンスこうだ。下北沢の小さな劇場で、客席にいた中高年メタボな男性の靴下を無理やり脱がし、その靴下の中にみかんをいれてしぼったジュースをパフォーマーが飲むというもの。面白いとか面白くないの域を超えて、もはやそれはスゴイとしかいいようがなかった。まぎれもない、田口トモロヲさんのステージでの出来事。

あの時のみかんの味の延長線上に、スクリーンで蛇になった時のファナティックで透き通った目があるんだろうなあ。靴下しぼり100%みかんジュースをお飲みになるトモロヲさん主演でなければ成立しなかった映画!!

★5月24日より渋谷シネ・アミューズほかにて公開

2008年04月24日
世界で一番美しい夜
乾貴美子
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