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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

西田敏行の本気をみた ~丘を越えて ★★★★★

数年前に、菊池寛の戯曲「父帰る」と「屋上の狂人」を同時上演するという舞台を見たことがあります。「父帰る」は長年失踪していた父が突然帰宅した日の騒動を描いた作品で、「屋上の狂人」は屋根に登り山や雲と話してばかりの息子と家族のドタバタ劇。どちらも大げさな設定ではない中に押し殺した感情が爆発する瞬間が描かれていて、菊池寛という人はなんてすごい作家なんだろうと感動した覚えがあります。

そんな菊池寛をモデルにした映画ができあがりました。
タイトルは「丘を越えて」。

昭和歌謡の代名詞・藤山一郎さんのヒット曲からタイトル頂戴していることからも分かる通り、「アラビアの唄」「東京行進曲」「君恋し」などレトロで愛らしい名曲がスクリーンを盛り上げます。

「真珠夫人」で人気作家となった後、「文芸春秋」「オール読物」などの週刊誌を創刊し、芥川賞、直木賞を設立したことでも知られる菊池寛が、経営が悪化した文芸春秋社を救うため「モダン日本」を創刊せんとする頃の物語。

菊池寛(西田敏行)は、下町育ちの葉子(池脇千鶴)を秘書として雇いますが、“モダンで若くて江戸の香りがする”葉子に惹かれ始めます。しかし葉子は血気盛んな韓国人記者・馬海松(西島秀俊)に恋心を抱くようになり・・・菊池の運転手・長谷川(猪野学)と葉子の母(余貴美子)は、3人の関係をやきもきしながら見守るのでした。

西田敏行さんは沢山の映画に出演されていますが、多くの場合(釣りバカシリーズは除く!)おいしい場面にだけちょこっと登場し名演見せつけて去っていきます。業界用語でいうところの“食い逃げ”。もちろんお上手だから短い時間の中で笑わせたり泣かせたりしてくれるのだけど、お上手だからこそ、余力を残して演技してるなという感じの“余裕”が感じられます。

でも今回は全力の西田敏行!!!!

「言うべきことはいう、これがジャーナリズムだ」とキッパリ言い放つ男らしい顔、年下の葉子に転がされ葉子の膝枕で歌をうたってもらってる時の幼子のような顔・・・すべての表情に西田さんの菊池寛に対する特別な感情が込められているようでした。

ポケットからくしゃくしゃの紙幣が出てきたり、好色で食通だった菊池寛になるだけ似せようと役作りしている西田さんに対し、原作者・猪瀬直樹氏演じる夏目漱石に全く似せようという気が感じられないのもまたご愛敬(笑)。

突如としてダンスシーンが織り込まれたりする、監督・高橋伴明さん(「愛の新世界」大好きです!!)の不思議ワールドも心地よくで、声を大にしてお勧めしたい一作です

シネスイッチ銀座、新宿バルト9ほか、初夏ロードショー

「丘を越えて」公式サイトへ

2008年04月02日
丘を越えて
乾貴美子
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