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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

椿三十郎が見事よみがえりました!

Dscn0285  森田芳光監督の「椿三十郎」を見てまいりました! いやぁ、面白かったなあ。誰もが知っている黒澤明監督の名作をリメークすることになったら、新解釈で前作と全然違う作品に仕上げるか、とことん同じにするかのどちらかだと思うのですが、森田監督の取った手法は後者。黒澤版の台本をそのまま使って、シーン構成はもちろんアングルまでそっくりそのままに作っているのです!

 と、思ったのですが、ワタクシが出演している、ニッポン放送(月)~(金)午前11:30~放送中「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」にゲストで来て下さった森田監督にインタビューしたところ、「アングルは似てるように見えるけど全然違う。こだわってアングルを同じにしたのは、ラストの一騎打ちのシーンだけ。あそこは沈黙の秒数まで同じ!」とのことでした。

 物語のクライマックスとなる三十郎と半兵衛の一騎打ち、黒澤版はワンカットで血がパーーーーーーーっと吹き出していました。しかし森田版では、出だしのアングルは同じでも、その後の演出は全く異なっています。“ほほう、なるほどそうきましたか!”と膝(ひざ)を打つような動きとカット割りで手に汗握りました!!!!

 椿三十郎を演じる織田裕二さんは、野太く怪しい魅力たっぷりで見とれちゃったなあ。三船さんの三十郎よりチャーミングで人間味溢(あふ)れる感じ。

 よく「踊る大捜査線」と「天国と地獄」の共通点が指摘されますが、「椿三十郎」を見ていたら、そうか! 組織の中の三十郎が「踊る」の青島なのか! とか、踊るの室井警視正って「椿三十郎」の室戸半兵衛から来てるのかなぁとか、スリーアミーゴスって茶室の三悪人がヒントになってるのかなぁと思ったり思わなかったり……単に織田さんが主演だから似て見えただけかも知れません。

                               

 室戸半兵衛役は豊川悦司さん。モノクロな声が半兵衛にピッタリ!!

 佐々木蔵之介さんの押入れ侍もナイスキャスティングで、出てくる度に嬉(うれ)しかったです。

 モノクロからカラー映画に変わったことで、作戦開始の合図となる椿(つばき)の色での一波乱が加えられていたり(黒澤版だと奥方様が庭でくつろいでいる所に一輪だけ流れてくる椿の色が白なんだけど、今回は赤になっていて、何故なのか監督に尋ねたところ特に意味はないそうです。)、落研出身の森田監督らしくコメディーの要素が強くなっています。分かりやすくて、笑えたなあ。

近年の森田作品は、「模倣犯」(宮部みゆき原作)、「阿修羅のごとく」(向田邦子原作)、「海猫」(谷村志穂原作)、「間宮兄弟」(江國香織原作)、「サウスバウンド」(奥田英朗原作)とヒット小説を原作にしたものが続いていました。全部見ましたけど、この監督は原作の“雰囲気”をスクリーンに映し出すのが本当に上手(うま)い!! 作品の核となるディティールを見つけるのが得意で、監督本人の強烈な作家性と原作者の魂を交霊させてしまうから、どの映画を見ても全く違う印象になる、けれど見えないところで拳銃を構えているような挑発的メッセージはすべての作品に共通しています。

 で、そんな森田監督が、なぜ今「椿三十郎」なのかというと、人気俳優ひっぱりだして適度に作った映画が多すぎる“邦画ブーム”に警笛をならすべく、映画職人として”邦画の神“黒澤明のご来光をバックに立ちあがったのではないでしょうか?

 そんな気合が感じられる、男臭~い一作。

★12月1日より日劇PLEXほかロードショー

2007年11月28日
乾貴美子
椿三十郎
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