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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

エロを芸術であつ~くコーティングしたお茶菓子~ 眠れる美女

 はじめまして!乾貴美子です。今回からオススメ映画をご紹介させていただくことになりました。よろしくお願いいたします。

 でも、最初にお断りしておきますが・・・ワタクシいわゆる大作や、よくできたお涙頂戴ものが苦手でございます。30代夫子あり、掃除が大好きで地味なタイプの女ですが、まだまだ気持ち的には反抗期の真っただ中。ちょっとひねった映画を見つけていけたら良いなぁ~と思う次第であります。

 今回は、川端康成原作、ヴァディム・グロウナさんというドイツ人の男性が監督&脚本&主演した「眠れる美女」をご紹介☆

 この作品、一言でいうと「エロを芸術であつ~くコーティングしたお茶菓子」のようですわ。ステーキや煮込みのように、メインディッシュにはなりません。けれど、ちょいとつまんで、お茶しながら話す題材としては最適。死への畏敬(いけい)、老いとの葛藤(かっとう)がテーマとして根底に流れていますが、重すぎず、軽すぎず、美術館をまわった後のような崇高(すうこう)な余韻(よいん)を残します。

 主人公は実業家のエドモンド。15年前に事故で妻と娘を亡くし、死にながら生きているような心情でいます。待つ人も生甲斐もないエドモンドを心配して、友人がとあるメゾンをすすめました。なんとそのメゾンでは“深く眠らされた一糸も纏(まと)わぬ美少女がベットに横たわり、お客と一夜を共にする。彼女たちは絶対に目を覚まさない”というのです。

 世の男性陣にとって夢のような場所ですね。“美少女が裸で寝ているメゾン”。あなたなら、そこに行って何をなさいますか? 私なら、とりあえず写メで友達に報告するかな。エドモンドがどうしたのかはスクリーンでご覧下さい。男としてのプライドと老いとの間で格闘する彼の行動は、リアルで、滑稽(こっけい)で、切ない。

 メゾンの虜(とりこ)となり頻繁(ひんぱん)に通うエドモンドは、そこで老人が亡くなるのを目撃します。老衰なのか、それともメゾンを取り仕切る何者かによって殺されたのか、死因は謎。エドモンドは同類の死を見て、自分もいっそメゾンで夢心地のまま死にたいと思ったのかも知れない。その晩あてがわれた部屋には、一粒の白い薬が置かれていました・・・・・・。

 世の中には、中村鴈治朗(現、坂田藤十郎)さんみたいに、高齢者と呼ばれる年齢になってなお若い芸者とホテルでスクープされる(例えが古いですが、人様のゴシップがいつまでも忘れられない性質なんです、私。)パワーあふれる男性もいます。一方で、20代にして枯れているような男性陣もおり、両者の違いは一体なんなんだろうと、そんなことをも考えさせられる映画で。すべての問いに答えはないんです。ただひとつ言えることは、見に行く映画として「眠れる美女」を選ぶ気概(きがい)のある人は全然枯れてないよね、ってそれだけです。

映像キレイですよ。美女の寝顔が眼の保養になります。

2008年お正月 ユーロスペースにてロードショー、他全国順次公開

2007年11月01日
乾貴美子
眠れる美女
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