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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

ジプシー音楽の代表曲と魅力が凝縮~ ジプシー・キャラバン

Inui01 絶対に日本人の感性では演奏できないくらい、猥雑(わいざつ)で、情熱的な、ジプシー音楽のドキュメンタリー映画を見てきました。

面白かったー!!

 登場するのは、ルーマニアのジプシーミュージシャンの集落で結成されたバンド「タラフ・ドゥ・ハイドゥークス」。彼らはかなりインパクトが強かったですねー。中でも一番濃いキャラは、長老のニコラエ。この方こそ本物のちょい悪オヤジですよ。憎いことを言ってくれます。例えば「演奏してない時は素敵な女性との出会いを夢みてる」なんてね。いい歳して(もう80歳以上?)まだ女が好きなじいさまなんです。で、年季の入ったバイオリンを独自の奏法で演奏し、孫の未来を憂い、ワインをボトルで回し飲みする。すべての挙動がカッコよくてしびれます。

 そして、ジプシー集住率の高いマケドニアの“ジプシー・クイーン”「エスマ」。彼女はジプシーとしてのプライドが最も高く、ロマ(ジプシー)の言葉以外では絶対に歌いません。

 フラメンコの聖地・アンダルシアのダンサー「アントニオ・エル・ピパ」。彼は、ジプシーにとってフラメンコは感情を吐き出し表現する手段だと言います。

 インドの砂漠民バンド「マハラジャ」。インドのヒンドゥの階級システムの中で、砂漠芸能民は最下層の“不可触民”とされていますが、彼らは明るく朗らかなキャラクターです。

 そして私の大好きな!ルーマニアのブラスバンド、ファンファーラ・チョクルリーア。♪ブッパカ・ブッパカ・ブッパカ・ブッパカ~と高速でラッパをふきならす曲がテレビの効果音でよく使われているので(特にパニックが起きてるシーンとかのBGMとして!)、聞いたら嗚呼(ああ)この曲は彼らが演奏していたのか、とお分かりになる方も多いと思います。アルバムが世界じゅうでヒットおかげで、彼らの住む村ゼチェ・プラジニ村には電気がひかれたそうです。

 ジプシーという名前は差別的に使われることが多いので、彼らは自分たちを「ロマ」と自称します。ジプシー音楽はもともと、勝利を祝うトルコ軍の楽隊の音楽にロマの悲しみを混ぜたものだと言われています。

 映画では、ロマの楽団の北米ツアーに同行していますが、ジプシーとひとことで言ってもヨーロッパを経由して世界中に住んでいるので、肌の色はもちろん違うし、リズムもステップも違う。けれど、“ジプシーとして生きることの人間臭さと美しさを見せたい”と、心を一つにしてステージに立ちます。

 彼らが言いたいことは、音楽や、顔のシワにすべて表れています。ジプシーが迫害されてきた具体的な歴史や事件は分からなくても、この映画さえ見れば、ロマがどういう人達でどんな気持ちでいたのかが、手に取るように理解できました。

 それくらい濃度の濃いジプシー音楽の代表曲と魅力がつまった「ジプシー・キャラバン」。流行り歌やカラオケに飽きた方は是非ご覧ください。私はこういう映画すごい好きだな。

★2007年12月より、渋谷シネ・アミューズ他、全国ロードショー

2007年11月06日
ジプシー・キャラバン
乾貴美子
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