朝日新聞がビートルズ世代に贈る、こだわりエンターテインメントサイト

メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

  • トップ
  • 地球発
  • マネー
  • ライフスタイル
  • 極める
  • からだプラス
  • エンタメ

エンタメ

  • 映画散歩TOPへ

映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

音楽のちから~ ヴィットリオ広場のオーケストラ

 ヴィットリオ広場とは、ローマの玄関口テルミネ駅のそばにある広場のこと。移民が多く住み旧市街に位置するこの広場周辺も、時代とともに急速に変化。イタリアで最も古く歴史ある劇場のひとつのアポロ劇場は映画館に姿を変え、さらにビンゴホールにされようとしていた。

 そんな中、小さなローカルバンドのイタリア人ピアノ弾きのマリオとドキュメンタリー作家アゴスティーノ・フェッレンテの二人は、様々な民族の地元住人からなる楽団を立ち上げ、その活動を通して劇場の再生の必要さをアピールしようと計画。さらにフェッレンテは、本作品で二人がオーケストラ立ち上げを決意した2001年から2006年までの5年間の軌跡を追った。
 当初、約20人のメンバーで構成されるヴィットリア広場オーケストラ。作品中盤まではとにかくそのメンバー集めで四苦八苦する姿が描かれている。話題が先行し、2002年秋にはローマ欧州フェスティバルでのデビュー演奏が決まるも、同年春の時点でメンバーはたったの6人。普通のクラッシックを演奏するような定番の楽団ではなく、様々な国からの移民、そして彼らの民族楽器もとりいれた多国籍な楽団を目指したマリオ達。地元の商店を片っ端から周り音楽心があるものを探し、また地下鉄に出没する名プレイヤーがいると聞けば、電車の中で一日張り込む。そうやってどうにか集めたメンバーは、技術レベルも宗教も言語も異なる仲間達。その過程を通じ、ローマがいかに多国籍な場所であるか、また移民達の生活がどういったものか、垣間見られる点が興味深い。稽古(けいこ)場探し、活動資金と頭を悩ませることは次から次へとやってくる。しかも合同リハは本番のたった1週間前だけ。それでも映画終盤では、彼らはいよいよデビューの時をむかえる。
 正直、ドキュメンタリーとしては語りに稚拙(ちせつ)さがあり、テンポのよい作品ではない。また、楽団の活動とアポロ劇場の再生がどう結びつくのか、いささか唐突でピンとこないところもある。映画の前半で、劇場は市によって買い取られたものの、荒れ果てたまま改修のめどなしとなっている。そしてラストのナレーションでは、市が改修工事に腰をあげたことを告げるが、楽団はここでの定期演奏でも目標にあげているのだろうか?
 ともあれ、演奏時のメンバーの表情がすばらしい。彼らの笑顔を見ていると、音楽はあらゆる民族、言語、宗教の壁を越えて人々を結びつけるということが、改めてひしひしと伝わってくる。ちなみに現在ではこの楽団、CDリリースや年間100近い公演をおこなっている。

★11月3日 シアター イメージフォ-ラムにて公開

2007年10月29日
ヴィットリオ広場のオーケストラ
近藤深雪
トラックバック (0)
  • バックナンバー

ライター紹介

ココログ

画面トップへ

※当サイトの推奨ブラウザは、Windows Internet Explorer6.0以上、Firefox 1.0以上となります。
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
どらくに掲載の記事・写真の無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

©朝日新聞社
無断複製転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。