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映画散歩

シネマでしゃべろ 十人十色、それぞれのイチオシは?

本当の悲しみの前に、人は壊れる ~ 再会の街で

 5年前、9月11日に愛する家族(妻と3人の娘、愛犬)を失った元歯科医のチャーリー(アダム・サンドラ)、妻と2人の娘に囲まれ幸せな生活を送っている歯科医のアラン(ドン・チードル)。この2人は大学時代のルームメイトだった。そして偶然出会ったニューヨーク。そこからストーリーは始まる。

 アランは以前と豹変(ひょうへん)したチャーリーを心配し、彼へ近づいていく。「家族はいない」と話し、過去を封印し、気ままに暮らすチャーリー。彼の気まま生活に付き合っていくうちに、心にゆとりができ、自分自身の置かれている状況を落ち着いて考えることができるようになってきたアラン。彼は、一見順風満帆だが、仕事、妻との関係が思い通りにはいかないもどかしさを感じている。当然、チャーリーはそんなことは気づくはずもない。しかし、2人の不思議な交流は続く。時には、遊びに夢中になり妻に連絡もせず、朝帰りするなど、アランはチャーリーの世界にどんどん引き込まれていく。

 そんな時、アランは決意する。チャーリーを元の姿に戻す努力をすることを。まず、彼に知らせずに精神科医と合わせてみたが、上手くいかない。そして、知り合いの精神科医である、アンジェラ(リブ・タイラー)に彼を見てもらうことにする。

 カウンセリングに同意したチャーリーだが、なかなか心を開かない。しかし、カウンセリングに訪れたある日、アンジェラが、家族を失ったことを誰かに話して欲しい、という提案をする。彼は心を開く決意をし、友人であるアランに思いを打ち明ける。次々と出てくる家族への思い。このシーンから始まるチャーリーの過去を振り返る姿は痛々しい。

 この後、過去へ向き合ったことでチャーリーは思いがけぬ行動に出る。そのことにより警察に連行され、精神鑑定、裁判と過去に無理矢理と向き合わせる周囲の人達にいらいらを募らせる。過去に向き合うことは耐えることができない苦痛なのだ。

 しかしそんなチャーリーを支え続けたのはアラン。アランの存在の大きさに徐々に気づき始めるチャーリー。そして、最後の山場は裁判のシーン。検事から次々と、過去の事実とそれにより精神的におかしくなった関連性を突きつけられ、混乱するチャーリー。しかし、冷静に裁判を進めるレインズ判事(ドナルド・サザーランド)。裁判のシーンは、判決を言い渡すレインズ判事の存在が際だっている。彼の重い言葉が、チャーリーへの思いにあふれている。

 裁判の後、チャーリーが「道を歩いている全部が妻に、そして娘に見える。そして愛犬に」と涙で叫ぶシーンは、過去を振り返らないのではなく、毎日押し寄せる過去の記憶がどれほどあるのか、そして言葉では言いあらわせない悲しみがいかに大きなものか垣間見ることができる。人は、本当の悲しみに直面した時、人間として壊れてしまう、そんな当たり前のことを表現すると同時に、壊れたものを元に戻してくれるのは、友人であり、家族であり周りの人達であることも思い知らせてくれる、そんな映画だ。

★2008年 お正月、恵比寿ガーデンシネマ他ロードショー

(どらく編集部・映画担当・M)

2007年10月31日
どらく編集部映画担当
再会の街で
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